HAMLET' S MILL の翻訳(『THE KEY』に関連して)#480 |
ゴグとマゴグに関する古代の物語は、アラブ人によって復活され、アレクサンダーの伝奇物語の中で決定的な役割を演じるので我々はその概要の古さを信用することが出来よう:実際にそれは我々の今扱っている叙事詩にあるはずだ。ギルガメッシュが新しい通路を開くために現れていることを考えると、以前の通路は閉じられねばならない。これはまたオデュッセウス132 の場合でもそうされたのである。嘗て彼がポセイドン133 と新しい条約の為にという条件でイタカに着いた時には、哀れにもパイアーキア人134 は滅ぼされた。もはやスケリア135 は存在しないことになっていた。閉じられたまま山になってゆくその場所は、それ以来旅人の立ち入り禁止となった、ナウシカアー136 の美しい島を視界から見えなくしてしまうようになった。ポリネシア中部には幾つかの驚く程同じ話が得られている: 若いマウリが地下の世界の「老いたマウリ」(Mauike、Mahulike、等)から火を盗んだ時、彼が利用した通路はその日からづっと閉じられた。これは特に注目すべきことである、何故ならば「それはマウリが火を捜しに Mauike の家の中に降りたのは、Tiki の穴を通って行った」からである。Tiki (Ti’i) は「最初の人間」で『「Tiki の穴」は魂がそれによって(H)Avaiki に代々伝えるとされていたルートだったのである。』そこで、魂は「この穴が閉じられた後は」、即ち、若いマウリが火を盗んでしまった後は137 、別の道を見つけねばならなかった。
火の概念は、様々な形態だが、本書のエッセイの繰り返されるテーマの一つになっている。ギルガメッシュは、プロメテウス138 と同じく、それに直接的に関連する。火の原理、そしてそれを造るまたは手に入れる手段は彼らを通して最も良いアプローチがなされるのである。
132 Ithaca の王で Trojan War に参加した知勇兼備のギリシャの武将; Ulysses ともいう。研究社新英和大辞典第6版
133【ギリシャ神話】Zeus に次ぐ威厳をもつ海神; ローマ神話の Neptune に当たる。研究社新英和大辞典第6版
134パイアーキア:【ギリシャ伝説】《Troy 陥落後 Ulysses が訪れた国; 今の Corfu 島に当たるという》研究社新英和大辞典第6版
135 パイアーキア人の国のある島
136《パイアーキア人の王 Alcinoüs の娘; 難船した Odysseus を発見し父の王宮へ案内して救った》リーダーズ英和辞典第3版
137 W. W. Gill, Myths and Songs from the South Pacific (1876), p. 57; cf. R. W. Williamson, Religious andCosmic Beliefs of Central Polynesia (1924). vol. 2, p. 252 (Austral Islands, Samoa)
138【ギリシャ神話】《天上から火を盗んで来て土人形に生命を与えて人類を創造した神; そのため Zeus の怒りに触れて, Caucasus 山の岩に縛られ, 鷲に肝臓を食われたという》研究社新英和大辞典第6版