2015年 10月 24日
HAMLET' S MILL の翻訳(『THE KEY』に関連して)#288 |
翻訳続き#288
権威者の Berger ならそのイメージを再構成することができる(原註 E. H. Berger、My-
thische Kosmographie der Griechen (1904), pp. 1ff.)。その文献においてはオケアノスの属性は、『自らの上を逆流する』、『疲れをしらずたゆむことなく』、『穏やかに流れる』、『大波は起こさない』となっている。Berger はこう注意している:これらのイメージから、沈黙、規則性、深さ、不動性、回転、が示唆される—正に星空のもつ性質である。ところがその後その名前(オケアノス)は別のもっと地上に縛られた概念に変換された:陸地の全面を囲んでいるとされる現実の海とされた。しかし、しばしば繰り返されたが、「主流」とははっきりした違いがあることからその考えは本来の考えでは決してないことがわかる。もしオケアノスが、多くの分岐を持つ「銀色の渦巻く」明らかに海とか陸地に決して存在しない川ならば、その主流は海(ギリシャ語の
pontos または thalassa)のことではなくて、「上方の水 the Waters Above」のことでなければならない。神話のオケアノスはこのような際立った性質の遠隔さと静寂さを持っているのである。ゼウスが全ての神々が集うオリュンポスに参列するよう命じた時でもオケアノスは参列せず一人留まることのできる唯一の存在だった。娘達を送って鎖に繋がれて放置されたプロメテウス(ギリシア神話のチタン(タイタン)族の一人。神と人を媒介する文化英雄。天上の火を人間に与えてゼウスの怒りを買い、カフカス山の岩に鎖でつながれ、大鷲にその肝臓を食われたが、ヘラクレスに助けられた。また、水と泥土から人間を創り、他の獣のもつ全能力を付与したという。広辞苑第六版)を嘆き悲しませたのはオケアノスであり、彼の為に強力な仲裁をしたのもオケアノスである。オケアノスは河川の父である;伝説の中では、その昔は本来の天空の神であったとしてかすかに現れているのが実際のところである。オケアノスはオルフェウス讃歌の一つに『愛する地上の端、柱の支配者(beloved end of the earth, ruler of the pole)』として現れている(『原註略』)。さらに有名な古代の辞書:大語源集
Etymologicum magnum の中にその名前は『天空』に由来すると記されている。
・・・・12章終了・・・・
by bbex243054
| 2015-10-24 15:07
| 科学
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