2015年 09月 07日
HAMLET' S MILL の翻訳(『THE KEY』に関連して)#178 |
翻訳続き#178
『クロノスとガイアの息子』は紋切り型の属性を表わしているにすぎない。ところが、上記の讃歌の中でクロノスはチタン(タイタン)の一人であると表現されている。しかしこの表現はただ事ではない。何故ならば、「神」という単語は本来オリンポスの神々に対して使われる言葉だからである。これに対してサターン(訳註 ローマ神話で、人々に農耕や法を教え、黄金時代のイタリアを治めたとされる神。ギリシア神話のクロノスと同一視された。ラテン名サトゥルヌス。広辞苑第六版)の帝国というのは「この世界の」帝国ではなく、インドの阿修羅(訳註 梵語 Asura:古代インドの神の一族。後にはインドラ神(帝釈天)など天上の神々に戦いを挑む悪神とされる。仏教では天竜八部衆の一つとして仏法の守護神とされる一方、六道の一つとして人間以下の存在とされる。絶えず闘争を好み、地下や海底にすむという。アスラ。修羅。非天。無酒神。広辞苑第六版)かつ黄金時代の Kurita Yuga の王 Varuna の帝国そのものなのである;「使われている言葉の中に意義が含まれている」という公式はさらになお中世の「聖なる皇帝 Kaiser(神聖ローマ帝国皇帝の称号)-Sage」に見いだされる。死体だけが残ったテオドリック(訳註 454?-526; 東ゴート王国の建設者で王 (493-526); 493 年イタリアを征服し Ravenna に都した; 通称 Theodoric the Great テオドリック大王。研究社新英和大辞典第6版)の支配の終わりに、一人の小人が現れて王についてくるようにいう;『お前の帝国はもはやこの世界にはないのだ。(原註 W.Grimm, Die Deutche Heldensageドイツ英雄伝説(1957), p.338: 「Du solt mit mir gan. Dynreich ist ni-
cht in dieser welt. お前は俺と行かねばならないよ。王国はこの世にはないんだぜ。」。これに対応するポピュラーな民話では、フレデリックであるヴェローナは悪魔の馬にさらわれてエタナの噴火口に頭から放り込まれる、となっている。)
それにしても、もっと厄介なのは、クロノスがもう一人のチタン(タイタン)のプロメテウス「である」、神々の別の敵、人間に火を与えたあのプロメテウスだと言っているのである。彼はほかにももっと多くの人物にもなっているのであるが、これを解くにはかなりの時間がかかることになろう。我々は『絡み合い』の真っ只中にいるのである。
by bbex243054
| 2015-09-07 15:21
| 科学
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