2015年 08月 15日
HAMLET' S MILL の翻訳(『THE KEY』に関連して)#115 |
翻訳続き#115
この臼がこのように単に非常に大きくてかつ古いものであるというばかりではなくて、それはオリジナルなハムレット物語の核心にもなっているに違いないのである。それは「Skaldskaparmal」に再び現れる。その中でスノッリは何故 gold 黄金に対する kenning ケニング・代称(訳註 一つの名詞を複合語または語群で隠喩的に表現する技巧; 中世ゲルマン諸語(特に古期英語や古期北欧語)の詩に見られる一特徴で 18 世紀の詩でも用いられた。研究社新英和大辞典第6版)が『Frodhi のひき臼 Frodhi's meal』であるのかを説明している(『原註略』)。Frodhi の名前は実は北欧神話の偉大な『Vanir』即ち巨人族(Titans)の一人(訳註 Titan; ギリシャ神話。ウラノス(天) と ガイア (地)を父母とする大力の巨人族の一人; タイタン族はオリンポスの神々に背いて戦ったが 、 破れて Tartarus に落とされた。研究社新英和大辞典第6版)である Freyr の別名である。しかしスノッリは、物事をキリスト教の薫陶に相応しいように歴史上のことに繋げるのが好みであるので、 Frodhi を『アウグストゥス(訳註 Augustus: (尊厳者の意)前27年ローマ帝国の初代皇帝 オクタウィアヌスがローマ元老院から受けた尊号。)皇帝が全世界を平和にした時と、そしてキリストの生まれた時と同じ時代の人物に設定したのである。Frodhi 王のもとでの物事の一般的な状態を黄金時代(訳註(Golden Age)古代ギリシア・ローマで、人類の歴史を金・銀・銅・鉄の4時代に分けた第1の時代。幸福と平和に満ちた時代とした。広辞苑第六版)のそれと同様にした。しかもそれを『Frodhi の泰平時代 Frodhi's peace 』と名付けたのである。Saxo は先例に習って何の疑いもなくこの泰平時代が30年間続いたとしている(『原註略』)。
さて Frodhi は人力では動かすことの出来ない巨大な臼、あるいはひき臼の持ち主に偶然なった。その臼の名前が Grotte、『押しつぶすもの the crusher 』である。彼がそれをどのようにして手に入れたのかは語られていない。それは、お伽噺にあるように、全く偶然起こっている。それを使うことの出来る者を探しに漫遊した。そうしてスエーデンで二人の巨大な娘を採用することになった。その、Fenja と Menja という名前の二人の娘達は Grotte を使うことが出来た。それは魔法の臼だった。そこで Frodhi は彼女達に黄金を挽いて平和と幸福にするように伝えた。そのように彼女達はした。しかし Frodhi は欲望が募り二人を昼夜を問わず働かせた。彼は彼女たちを休ませたのは一つの決まった詩を朗唱するのにかかる時間の間だけだけだった。ある夜、他の誰もが眠っている時に、怒った大女 Menja は仕事を止めて一つの恐ろしい歌を歌った。
この漠然とした予言のようなのろいは、Muellenhoff が示したように、最も古い現存する、古代スカンジナビア吟唱詩人の文学ドキュメントである。スノッリの物語よりも遥か以前のものである。それは、恐ろしい姉妹達の伝記を含んでいる:
by bbex243054
| 2015-08-15 10:20
| 科学
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