2015年 08月 05日
HAMLET' S MILL の翻訳(『THE KEY』に関連して)#89 |
翻訳続き#89
さて、生物学者が不思議に思っている間に、偉大な何かがそのテレビ画面に現れた、予想もしなかった人々の中から。それは フレーザーだった。James Gerge Fraz-
er 氏(訳註 1854-1941; スコットランドの人類学者・神話学者; 「金枝篇」の著者として有名である。)は非常に尊敬されている古典学者だったが、パウサニアス(訳註 紀元 2 世紀のギリシャの地理学者・旅行家)の『Description of Greece』を編集している間、古典時代のギリシャ古典に広く見られる多数の信仰、慣習、祭式そして迷信に心を奪われた。これによって彼はほぼ忘れかけられた歴史の層をさらに深く探求することになったのである。こうして彼は民族学者に変り、研究対象を世界全体に広げた。画面が突然かわり、膨大な数の資料によって、豊穣神崇拝が最も初期の宗教の普遍的な形とみなされること、さらにそれに結びついた原初の魔術とみなされるという説明になった。それは文明が成長するための腐葉土のように思われた。画面には、季節毎だけの神々の祀り、すき跡で行われる不特定多数の農民達の性行為や人身御供を伴う豊穣神の儀式が現れ、これに加えて、人間の本性や気高い気持ちのどちらにも関連する戦争の見通しが披露される政治集会が映し出された。つまり、自然淘汰の法則は国家と人種にもあてはまるものだったというわけである。かくして、多数の資料や多くの歴史が進化論主義の宮殿を構築したのである。しかしこの理論が定着するにつれて、その気高い見地は衰え始めた;フロイドの精神分析学は引き潮となっていた。というのは、生存闘争(そして生命力に対する信仰)が多くのことを説明出来るのならば、無意識は何か説明出来る(とされていたからである。だから、精神分析が説明出来るものはなにもないとなれば、生存闘争で説明出来るものはあまりないということになる)。我々は今日余りにも良く知っているだけのことになっている。
by bbex243054
| 2015-08-05 13:58
| 科学
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