『The Super Natural』A new vision of the unexplained の翻訳 |
私がはっきりしないのは、 G.I. Gurdjieff が『神聖な堅固なもの (holy the firm)』と呼んだもののことである。即ち、人間の人生の中で唯一堅固な立場は表面上不安定な「疑問を持つ立場」、つまり、特に答えることも出来なければ答えられないままにしておくことも出来ない疑問をもつ立場ということである。
彼は『holy the firm』を『nothing (何も無いもの)』と表わした。しかしまあ、
『nothing』はなにも無い (nothing) という言う意味ではない、ですよね? あの哲学の根本問題、『何も無いものと言えば何かがあることになるのでは?』に固有の謎を楽しむ我々のような者にとっては、『nothing』は「何も無い」に違いないことである、と同時に、「何も無い」なんてあり得ないこと、なのである。これは物理学の中にその影が見つかる。物理学が、真空は、実際は、空ではない(何も無いのではない)と云う証拠を提供している。例えば、カシミール効果11 は、「何も無いもの」がエネルギーを含んでいる―だから、それは nothing (何も無い) ではない―ことを示している。プランクのスケールで―まことに、まことに、小さい―起きている出来事は計測することの出来ないほどの短い時間の現象である。言い換えれば、それらはあの謎を少し違った言い方で―「何も無いもの (『nothing』) は計測不能である。」―と表現される。
11訳註 以下ウイキペディアからの引用:
1948 年、オランダのフィリップス研究所の物理学者ヘンドリック・カシミール(Hendrik BG Casi-mir、ドイツ) とダーク・ポルダー(Dirk Polder、オランダ)は、平行に置かれた2枚の無帯電状態の金属板の間に吸引力が働くことを予想し、それを確かめる実験を編み出した。この力を「カシミール効果」と呼ぶ。1997年、ロスアラモス国立研究所のラモロー(Steve K. Lamoreaux)らによって、カシミール効果が実験的に計測された。非常に小さい距離を隔てて設置された二枚の平面金属板が真空中で互いに引き合う現象を、静的カシミール効果という。また、二枚の金属板を振動させると光子が生じる。これを動的カシミール効果という。