HAMLET' S MILL の翻訳(『THE KEY』に関連して)#449 |
現時点で学者間の交流にがっかりさせるような断絶がいまだに再発している。東洋学者達は、ギルガメッシュの物語を「ノーマルな叙事詩」と看做しており、近東に実際にあった事件の中に彼を捜しているが、彼らと同等の学識ある学者達、天体の専門家達、の研究を無視している、それらの専門家達の十分準備され組織化されたツールキットは研究に長い間ずっと役立っていたのである。一体東洋学者達は、テキストを再構成するつもりで、Boll や Gundel そして彼らのような人達に一度でも聞いてみたことがあったのだろうか。おそらくない、何故なら彼らは一語も発することなくそのような人達を避けているからである。いずれにしろ、ここでもう一度、 Franz Boll45 によって収集された二つの貴重なツールキットに言及するのが妥当である。Boll は星座の伝説全体に『Hades 冥界、Archeusian lake 冥界の湖、ferry-man 渡し守』のことを、今必要とされる以上に多くより詳細に提供している、占星術の伝承のなかで生き残ったままに。それらの場所は、さそり座と射手座の間、銀河と黄道の交差する南側の辺りである。Boll は、ウェルギリウス(アエネーイス46 6.286)とダンテは、サソリのような人達47の代わりに、地下世界の入口に、ケンタウルス座48 を置いているが、射手座49 を意味していることを指摘している。さてギルガメッシュの探求に戻ろう; ギルガメッシュは Urshanabi と対面する、死の海を渡らしてもらえると期待して。その渡し守は異議を唱える:『石の像』がギルガメッシュによって破壊されていたのである(appendix#31)。しかし、渡し守は旅人に長々と120本の柱を、長さがそれぞれ60キュービット(30ヤード)、切り出すよう命令する。それらを乗せて彼は船を竿を操り、両手が死の海に触れないように、進まねばならない。終に彼らは遥か彼方の海岸に到着する。そこには Utnapishtim・遠き者がいる。 英雄は困惑させられる:『私はあなた様が見える、あなた様の顔つきが違っている、あなた様は私とそっくりに見える。私の心にはあなた様を闘いをするための完全な姿を描いておりました; [しかし] あなた様はだるく横になって、あるいは仰向けになって、おられます: [仰って下さい] どのようにしてあなた様は神々の仲間に入られて(永遠の)命を得られたのでございますか50 ?』
45 Sphaera, pp. 19f., 28, 48, 173, 246-51; Aus der Offenbarung Johannis (1914), pp. 71ff., 143. See also W.Gundel, Neue Texte de Hermes Trimegistos (1936), esp. pp. 235ff. (207頁で、彼は射手座としないでケンタウルス座 (南十字星とうみへび座の間に位置する星座) を冥府の守護者に選んでいる。
46《ローマの詩人ウェルギリウス作の 12 巻の叙事詩; 主人公 Aeneas が Troy 落城後諸国を漂泊したのちローマを建国する物語》研究社新英和大辞典第6版
47皇帝ハインリッヒ二世の戴冠式マントには次のような文章が織り込まれている: Scorpio dum oritur, mortalitasginnitur (= gignitur ) さそり座が昇ると死が引き起される. E. Maass, Commentariorum in Aratum Reliquiqae(1898), p. 602; R. Eisler, Weltenmantel und Himmelszelt (1910), p. 13; Boll, Aus der Offenbarung, p.72. 我々はOvid のファエトンの墜落の記述も指摘しておくが、それによれば、ヘリオスの息子は活力を失い、さそり座が近づいた時統治が始まり、太陽がさそり座の中に入る月 Athyr 17日にオシリスは死ぬ (プルタルコス De Is. Os., c. 13, 356c)。
48 南半球の星座で、南十字星とうみへびの間に位置する星座
49 (Sagittarius ラテン) 黄道上の第 10 星座。蠍座さそりざの東、山羊座の西にある。輝星に乏しいが、星雲・星団・変光星に富む。銀河系の中心はこの星座の方向にある。晩夏の夕暮に南中。広辞苑第六版
50 Tablet 11, 3-7 (Heidel, p. 80)