HAMLET' S MILL の翻訳(『THE KEY』に関連して)#401 |
幾分困惑させる伝承が楔形文字のテキストの中に伝えられているが、それらは明らかに同じ『出来事』を仄めかしているのである。例えば、『エラム語21の戦車22は、シートがなく、Enmesharra の遺骸を運ぶ。引き具をつけた馬達は Zu の死神なのである。その二輪車の中で立っている王は、英雄王、Ninurta 国王である。』もそうである。初めて一瞥したときに思われる程には、実際には、暗い口上ではない最後の二つの文章(引き具をつけた馬達は Zu の死神なのである。その戦車の中で立っている王は、英雄王、Ninurta 国王である)はさておいて、翻訳者 Erich Ebeling23は、「エラム語の戦車」が、バビロニア天文学の権威者達が牡牛座 β星とζ星と同一視している、星座「Enmesharraの戦車」と一致するということに疑いを捨てていない。この Enmesharra は正に大きな手掛かりを与える名前になっているのである:(即ち Enmesharra は合成語であって)En.ME.SARRA のことであるが、この言葉は『すべての me の中の王』、即ち、『基準と尺度』の君主、『世界支配の君主』とも呼ばれるが、『宇宙24の君主 = Ea』なのである。さらに、これが重要であるが、『地下世界で重要な一者』かつ『地下世界の君主』という意味なのである25 。
21《エラム人が話していた語族不明の言語; 主に楔形 (せっけい) 文字で記されている; Susian ともいう》研究社新英和大辞典第6版
22 chariot
23Tod und Leben nach den Vorstellungen der Babylonier (1931), pp. 29, 33f.
24the Universe
25D. O. Edzard, “ Die Mythologie der Sumere und Akkader, ” wb. Myth., vol. 1, p. 62; P. Michatz, Die Götterliste der Serie Anu ilu A-nu-um (Phi. Diss.; 1909), p. 12; K. Tallqvist, Sumerische Namen der Totenwelt(1934), p. 62, and Akkadische Götterepitheta (1938), pp. 304, 437.