HAMLET' S MILL の翻訳(『THE KEY』に関連して)#390 |
さてここで一つの出来上がった命題がある。それを評価する為に、馭者座のα星はカペラ、山羊座・磨羯宮である事実を考慮する必要がある。その注目すべき存在は Dictaean の洞穴にいた赤ん坊のゼウスの育児婦 Amaltheia なのである。彼女の皮膚からヘーファイストス49が後に Aegis50を作ることになる。Capella-Amaltheia の角は不死の者達の豊饒の角51、ネクタール52と神の食物53の源であった。不死の者達はそれを「二番目のテーブル」、謂わばデザートと呼んだ54 。しかし意義深く思われるオルペウス教の伝承の断片が二つある、どちらもプロクロス55 によって我々に伝えられた。最初のものはこう云っている:『デーメーテール56 は神々の食料を分離した、それを、謂わば、液体と個体の部分に割った、即ち、ネクタール(Nectar)と神饌(Ambrosia)に57 。』二番目のものは、レ (イ) アー58はゼウスを生んだ後にデーメーテールになったと主張している59。
49【ギリシャ神話】《Zeus と Hera の子; 火と鍛冶仕事の神; ローマ神話の Vulcan に当たる》研究社新英和大辞典第6版
50【ギリシャ神話】 (Zeus 神が Athene 神に授けたという) 神盾。研究社新英和大辞典第6版
51【ギリシャ神話】《幼い Zeus に乳を与えたやぎ Amalthea の角; その所有者が欲しい物はなんでも豊富に作りだす;horn of plenty ともいう》研究社新英和大辞典第6版
52Nectar:【ギリシャ神話】神酒。神々の飲む酒; 飲めば不老不死となる。研究社新英和大辞典第6版
53Ambrosia:【 ギリシャローマ神話】神饌。不老不死の性質を与えるという神の食物。研究社新英和大辞典第6版
54アテナイオスの Deipnosophistai 643a; また 783c, 542a 参照
55410?-485; ギリシャの哲学者。研究社新英和大辞典第6版
56【ギリシャ神話】《大地豊饒結婚社会秩序の女神; ローマ神話の Ceres に当たる; Persephone の母》研究社新英和大辞典第6版
57Orphicorum Fragmenta, ed. O. Kern (1963), frag. 189, p. 216 (Proclus in Cratylus 404b, p. 92, 14 Pasqu.);cf. G, Dumézil, Le Festin, d’Immoralité (1924), p. 104. See also Roscher, in Roscher s.v. Ambrosia: sitos kaimethy, sithos kai oinos, etc.
58【ギリシャ神話】Uranus と Gaea の娘; Cronus の妻; Zeus をはじめ Hera, Poseidon などの諸神の母で Mother ofthe Gods と呼ばれる; ローマ神話の Ops に当たる。研究社新英和大辞典第6版
59Orphicorum Fragmenta, frag. 145, p. 188.
さて我々にとっては単なる一つの「場所名」であるエレウシス60 は、ギリシャ人達には『Advent』として理解されていたのである―新約聖書は『Advent』をキリストの降臨を表わす言葉に使っている。デーメーテール、旧名レ (イ) アー、クロノスの妻は、『到着した』とき馭者座のα星に源を持っている神聖な食料を二種類に分けた。つまり言い換えると、デーメーテールについてのこのような伝承は、二分経線が馭者座のα星にシフトするという極めて重大なシフトがあったことを云っているのである。
60古代ギリシャ Attica の Demeter の秘儀で有名な都市。研究社新英和大辞典第6版