2015年 09月 03日
HAMLET' S MILL の翻訳(『THE KEY』に関連して)#170 |
翻訳続き#170
さて別の大きなテーマ、実際非常に重要なテーマだが、に移ってみよう。アジアのシャーマニズムにおいて『鍛冶屋 (訳註 ここの原文は「blacksmith」が使われているが 「smith」 も使われており、両者同じ意味で使われている単語と考えて、日本語の『鍛冶屋』と訳した。)』特に宇宙(the co-
smos)の神聖な『原構造』の正統な相続人である天空の鍛冶屋の意義について遡ることは可能である。このタイプの幾つかの代表的な者達は、我々は Faber 神と名付けているのだが、建築家であると同時に鍛冶屋という二つの機能を持ち続けている。例えば、ギリシャのヘーファイストス(訳註 Zeus と Hera の子; 火と鍛冶(かじ)仕事の神; ローマ神話のVulcan に当たる。研究社新英和大辞典第6版)は神々に星の館を建造して傑作を鍛造している、またラスシャムラ(訳註 シリア西部 Latakia の北 11 km の地中海岸近くにあるテル (tell) で北部の村; 古代都市 Ugarit の遺跡; 1929 年以来の C. F. A. Schaeffer らによる発掘調査の結果 Hassuna 期から後期青銅時代に至るフェニキア地方古代文化の変遷が明らかにされた; また神殿跡発見の 28 文字から成る最古のアルファベットで記された粘土板文書は有名。研究社新英和大辞典第6版)の Koshar-wa-Hasis もバアル(訳註 Baal:古代フェニキア人・カナン人が崇拝した神;本来は豊穣神;対応する女神は Astarte;旧約聖書においては偽りの神とされる。リーダーズ英和辞典第3版)の神殿を建て傑作を鍛造している。
ヤクート族(東部シベリアのトルコ系種族)はこう主張する:『鍛冶屋』とシャーマンは同じ巣から来ており、』さらにつけ加えて言う:『鍛冶屋はシャーマンの兄である。』(原註P. W. Schmidt, Die asiatischen Hirtenvölker (1954), pp. 346f. 地上の鍛冶屋に関しては:シャーマンの衣装になる多くの鉄の砕片は9世代続く、即ち直系の先祖の8人が鍛造を専門としていなければならなかった、鍛冶屋によってのみ鍛造することができる。そのような先祖を持たずにシャーマンの道具を敢えて鍛造する鍛冶屋は鳥の精霊によってバラバラにされることになっていた。)
お分かりと思うが、エストニア(訳註 バルト海沿岸の共和国。帝政ロシア領であったが第一次大戦後独立、1940年ソ連に編入。91年ソ連解体以前に独立。2004年EU加盟。住民はフィン系エストニア人が主。面積4万5000平方キロメートル。人口134万9千(2004)。首都タリン。広辞苑第六版)では、Sampo を製造して空と太陽そして月を鍛造したのは、原初の鍛冶屋なのである。天空の鍛冶屋の代理人たる国王自身『鍛冶屋』の称号でたびたび呼ばれているのは根拠のない思いつきからではないのである。
by bbex243054
| 2015-09-03 15:25
| 科学
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