2015年 08月 28日
HAMLET' S MILL の翻訳(『THE KEY』に関連して)#152 |
翻訳続き#152
その源泉のおかげではあるが、ダンテはそれによって一層真の創造者になっている。明らかに、それは『poet 詩人肌の人』poiẽtẽs の、伝説の源泉に一層近づいて再定義されたに違いない思想そのものである。オウィディウス(訳註 Ovid:オヴィッド。43 b.c.-?a.d. 17; ローマの詩人; Augustus 帝に追放され配所で死んだ; Ars Amatoria 「愛の技巧」, Metamorphoses 「変身譚」; ラテン語名 Publius Ovidius Naso.研究社新英和大辞典第6版)は「Veteres docti poetae 賢明な古き詩人」といったけれども、彼自身は決してそんな人ではなかった。『Learned 学識ある』がキーワードである、その意味は、言葉の彩や寓喩が理論的であることではなくて、神話の教えの実体を生かしているということなのである。
しかしそこ神曲でもまたありふれた語法が誤解を招いているのである。今日、学識者というのは通常、それは何についてのものであるかを理解している人のことである。ダンテは確かにこの意味でも学識者であった。しかし神曲をどうしてそのように大いに異なる時代に設定したのか?そう疑う理由はある。アリストテレスによって定義された秘密の教義はとっくの昔に理解されて学ばれた教えである。中国の学者達の教育の多くはごく最近までこのような系列にそったものだった。それは全く決して理解されないかもしれないが、最良の場合学習が完全である時に理解されるのだろう。一方、他の方法はあった。
ローマから極端なケースを一つあげてみる。アテナイオス(訳註 2 世紀末から 3 世紀初めのギリシャの著作家; Deipnosophistai 「食卓談義」研究社新英和大辞典第6版)は、非常に賞賛されたミモス(訳註 古代ギリシャやローマのミモス:実生活に取材し, 主に物まねと舞踏から成る一種の滑稽劇; ミモス用の対話体の作品。研究社新英和大辞典第6版)があって、メンフィスという名前の男は短いダンスの中でピタゴラス学派の教義の全てのエッセンスを完全に伝えたと言っている。彼がそれを理解していたとは言っていない:彼は一部はうすうす感じていたかも知れなかったが、それ以外の残りは彼の異常な程に研ぎすまされた感覚で表現された。彼の理解は、謂わば、演技で表現出来るだけの形態学的理解だったのである。彼の演技を見る一般人が彼以上に理解したのではないことは確かである:しかし、彼らは厳しい容赦ない判断をした。『Dictum sapienti sat 賢者の一言で十分だ。』と賢者は言っただろう。しかしその場で完全に一つの単語を間違えていた。観衆たちはそれにもかかわらず気が狂わんばかりに通俗用語で叫んだ:『お前がすきだぜ、ジャック。』完全な形からほんのちょっとした間違いに対しては、彼らは卵やトマトを準備していた。以上あげたケースは真の意思伝達をするのに理解する必要はない例である。それはフォーム mo-
rphẽを通してだけで起きている。秘密の儀式では『言葉では言うことが出来なく
(arrhẽta)』て演じられる事だけが出来る事柄があったのである。
by bbex243054
| 2015-08-28 13:38
| 科学
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