2015年 08月 01日
HAMLET' S MILL の翻訳(『THE KEY』に関連して)#74 |
翻訳続き#74
このような見解がどれほど近代人の無関心になっていたかは、コペルニクスの学説を受け入れるまでにどれほど大きな溝が歴史にあったのか分る人を除けば理解出来る人は殆どいない。Sir Thomas Browne (訳註 1605-82; 英国の医師・著述家; Religio Medici 「医師の信仰」 (1643), Hydriotaphia, or Urn-Burial 「壺葬論」 (1658)の著者。研究社新英和大辞典第6版)は宗教的な、感情と霊気そして予感、を非常に深く持つ人物だったが、そのような宗教的深さが彼のためになっていた。しかし、宗教的深さはせいぜい、ロシア人宇宙飛行士が勝ち誇って、『空の上にいってきたが、どこにも神はいなかった.』と報告することが出来て当たり前、という程度になっている。天文学は砲外弾道学(発射後の弾丸の銃砲腔外における運動エネルギーに関する科学)の分野、宇宙偵察冒険の教科になりさがっている。
(訳註 若い方には『?』と思われるかもしれませんが、原書が書かれた60年代の社会状況を知る者にとってはこの表現はよく分ります。ソ連が最初の人工衛星をうちあげたこと、最初の宇宙飛行士となったソ連のガガーリンが『地球は青かった』と大気圏外飛行中に伝えたことを思い出しますが、『ヤー、チャイカ 私はカモメ』と通信した最初の女性宇宙飛行士もソ連だったように、常にアメリカはソ連の後塵を拝していました。現在はアメリカの宇宙開発が先行しているようですが、常に軍拡競争が宇宙開発に影をさしています。だから、ここの記述は現在も生きているように思われます。)
(この文章のあとに、5種類の図が記載されています。)
アリストテレスの不思議なことに対する能力を「我々」が取り戻すには想像する努力を絞り出さねばならないというかも知れない。しかし、この「我々」は「一般の人々」のことをいっているのだと思うとそれは誤解である、というのは普通のバビロニア人やギリシャ人が自然の秩序や法則に驚嘆する傾向は、現代の一般人と同じく殆どないからである。多様な外見の背後に不変な数の構造に驚嘆し追求するのは、真の科学的精神をもっていることの証だったし、これからもそうであろう。(要素が周期性をもっていることとか、さらに進んでバルマー系列(水素の原子スペクトルの中の一群)を発見するには適切な『予想』、そうに違いないという『センス』が必要である。この『センス』こそが、高度文明を産んだ人達を「数と順序」の発見に導いたのである。)
by bbex243054
| 2015-08-01 09:20
| 科学
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