2015年 04月 16日
WHITLEY STRIEBER氏の著書「THE KEY」 翻訳 #3 |
翻訳続き#3
そうだからといっても、ホテルの中にはそんな規則の目を逃れることが難しくはないところがある。だから、おそらく「あの方」はチップを渡して簡単に部屋番号を聞き出し上がってきたのだろう。「あの方」は、ちっとも危険な風貌ではなかった。だから、チップを貰った人も危険人物にはとても見えなかっただろう。
翌年から2年の間ずっと、いろいろの方法を使って「あの方」を見つけようとした。しかし、どれも無駄だった。最後に思いついたのは、「あの方」の話をプライベートに出版しようということだった。こうすれば、私にコンタクトさせられる、と思ったからである。その本を私の Webサイトで10年間取り扱った。しかし、この方法でも「あの方」を再び呼び戻すことは出来なかったのである。
そういうわけで、私の心に残ったのは、あの夜正確には一体何が起きたのかという疑問である。「あの方」は、生身の、身体を持つ人だったのか、それとも私の造った虚像だったのだろうか?
かれこれ10年以上前のあの夜を振り返ってみるにつけて、本当のことを言えば、私の人生にかくも深遠な影響を与えた「あのお方」が、生身の、身体を持つ人なのは確かだ、とはとても言えない。でも、でも、いまこの時点で、「彼は単純に私の空想の一産物である」のではない、と相当の自信を持って言うこともできる。だからこそ、このように誰にでも書店で入手できる形で(原文は 「to a general audience」だが、大手流通ルートに乗る形であろう。流通ルートにのらない本は、一般書店は取り扱わないのが一般的)本書を出版しているのである。
何故『「彼は単純に私の空想の一産物である」のではない、と相当の自信を持って言えるのか』という理由だが、それは:「あの方」は、当時私の想像力の及ばないあまりにもたくさんのことを語り、そしてまた、その中には、その時は実際に根拠があるなどと決して想いもしなかったことだが、後になって科学的に正しいことが証明されたものがいくつかあるからである。
文章におこした話の中には、どれほど葬り去りたい気持ちに駆り立てられたものがあったか、ありありと思い出すことができる。
例えば:『知能を持った機械(原文は intelligent machines. intelligent は「having or showing the ability to easily learn or understand things or to deal with new or difficult situations 【メリアム・ウェブスター英英辞典】という意味合いを含む語。)を造るのに考慮しなければならない重要な要素のひとつは、ガスなんだよ。』と告げられた時は、なんとまあおかしな話だと思ったことを覚えている。ところが、「あの方」は続けてこう主張したのだ:「亜酸化窒素(nitrous oxide) が記憶を運ぶ(bear memory)ものなんだよ。」亜酸化窒素というと、そりゃあ笑化ガスだろ。だから、「冗談じゃない!」と、その当時は思ったのである。
ところが、それは冗談どころではなかったのである!私は、「The Key」を自費出版するまでの1998年から2000年の間いろいろ調べたところ、「あの方」の話には何かあるのではなかろうかを示すヒントを2、3 探し当てたのであるが、2005年になって極めて特殊な発見が公表されたのである。何かというと:再酸化された亜酸化窒素(reoxidized nitrous oxide) が電荷トラッピング不揮発性メモリ(charge-trapping nonvolatile memory)のゲート誘電体(gate dielectric)に使うことが出来うる、という発見であった。まさしく「あの方」の言ったことは正しかった。亜酸化窒素(nitrous oxide) は本当に『記憶を運ぶものなんだ』。これは、私が、「あの方」が会話の中で語った多くの科学的な意見を注意深く調べた直した中で直接確証出来なかったものの一つである。しかしながら、それは2005年になって確証された。
知能を持った機械に関する会話のなかで、「あの方」はこうも付け加えた:『さらにいえば、君たちは近々、極めて高速かつ極めて効果的な量子のメモリーチップに「重ね合わせの原理」を使う方法を見つけるかもしれないね。』と。
訳注:「重ね合わせの原理」とは、superposition を日本語で「(量子の)重ね合わせの原理」という訳語で使用されている重要な量子物理学の専門用語です。一般の人にとっては、辞書を調べても意味不明なんのこっちゃ、と思われます。大学で線形代数を学んだ人なら、重ね合わせの原理という用語を覚えているかもしれませんが、それとは無関係同字異議です。数式表現が同じ形式になっていると無理に言えば、まあそうもいえますが。
2010年、記憶媒体としてガスの利用法がさらにもう一つ公表されたが、今度は先ほど記した量子のメモリーチップに関することになってきた。それによれば、量子メモリーの応用のうちで、高密度、超低温の原子ガスが、個々の光子の貯蔵媒体として有望な媒体であるという発見のようである。
それにしても、「あの方」は何者なのだという謎は、「あの方」が再び現れない限り、解決できるようになるとは言えそうにない。これを解決する為に、「あの方」ならきっと自分のことだとわかる身元の特徴はこれまで公表していない。したがって、(本の内容は自分の話したことを書いているのだから著作権料を払えと主張して)それは自分であると名乗り出た人はもれなく、本人確認をうけることになる。
by bbex243054
| 2015-04-16 09:30
| 科学
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